特集/コラム

【社会的事業】2012-02-01

フレンドリーズ・アイスクリームの”コーンズ・フォア・キッズ”

アメリカ東海岸を中心にアイスクリーム・レストランチェーンを展開するフレンドリーズが、”コーンズ・フォア・キッズ”キャンペーンを始めて今年で31年目となる。今年も昨年に引き続き、障害を持つ子供たちを支援するNPO、イースター・シールズが展開するサマーキャンプへの資金調達につなげている。

団欒の時を子供たちに。"フレンドリー"な地元のアイスクリーム屋さんフレンドリーズは、当時18歳と20歳だったカーティス・ブレイクとプレストリー・ブレイクの2兄弟が、大恐慌真っ只中の1935年に、マサチューセッツ州スプリングフィールド市にて創業した。創業時は大恐慌真っ只中で、小さな一軒のアイスクリーム屋さんとしての出発だったが、1940年には2軒目をオープン、その後東海岸を中心に着実に店舗数を増やし、現在は全米500店舗以上のアイスクリームショップやファミリーレストランを展開、さらに7500店以上のスーパーや小売店にて同ブランドのアイスクリーム商品が販売されている、アメリカ人にはすっかりお馴染みのアイスクリームブランドだ。多くのフレンドリーズ・アイスクリームショップには、その入り口に、それぞれの町の名前が刻印された、古時計が飾ってあり、「フレンドリーズ」というその名の通り、気軽に立ち寄れるフレンドリーな地元のアイスクリーム屋さん、という雰囲気は今も変わっていない。
地元のアイスクリーム屋さん、といえば、もちろん、子供たちに大人気である。フレンドリーズは、アイスクリームという媒体を通して、子供たち、その家族、そして地元コミュニティーの人々が、楽しく幸せな団欒の時を過ごすことが出来るよう、支援したい、という想いが創業当時からの信念であった。
フレンドリーズを愛してくれた子供たちの中には重病や障害を抱えている子達もいた。彼らにも同様に楽しい団欒の時を提供したい、と31年前に誕生したのが、「コーン・フォア・キッズ」キャンペーンだ。「コーン・フォア・キッズ」では、フレンドリーズのアイスクリームショップ、またはレストランに来店した顧客から寄付を募り、重病や障害を持つ子供たちを支援する非営利団体、イースター・シールズへの資金調達を行うとともに、寄付金提供者には、アイスクリーム無料券を提供する、という内容だ。この「コーン・フォア・キッズ」はこれまでに2,700万ドルの寄付金を調達、2011年単年だけでも675,000ドルを調達している。

今年の「コーン・フォア・キッズ」キャンペーンは、バレンタインデー1月2日から2月13日まで実施、フレンドリーズの各店舗で寄付を行うと、1ドルにつき5枚のバレンタインカードがもらえ、無料のアイスクリームに還元することが出来る。
フレンドリーズは2011年9月にチャプター11(連邦倒産法第11章)を申請し、63店舗をクローズしているのだが、大恐慌にも立ち向かいながら事業を伸ばして行ったフレンドリーズの底力だろうか、そんな中でもこの「コーン・フォア・キッズ」を変わらず続けているのだ。

イースター・シールズ キャンプ・フレンドリーズこの「コーン・フォア・キッズ」キャンペーン、これまで同様、今年も非営利団体、イースター・シールズと共に展開するサマーキャンプ、「イースター・シールズ キャンプ・フレンドリーズ」への資金調達支援を行っている。

アメリカの子供たちは、夏休みの期間中、海や山などでサマーキャンプを行い、自然に親しみながらさまざまなアクティビティーを通して楽しく屋外学習をするのが慣習だ。しかし、これらのサマーキャンプは、体を動かすアクティビティーがほとんどであるため、障害を持った子供たちはなかなか参加することが難しい。「イースター・シールズ キャンプ・フレンドリーズ」では、障害を持っていてもいなくても隔てなくサマーキャンプを楽しむことが出来るよう工夫された内容を提供している。そのアクティビティーはボートやカヌー、水泳、アーチェリー、縄跳び、乗馬、ハイキング、バスケットボール、魚釣りに至るまで、通常のサマーキャンプと全く変わりない豊富な内容で満載だ。
このキャンプは、決して、障害を持つ子供だけを集めて行う目的の物ではない。障害を持つ子も持たない子も、一緒にキャンプに参加し、一緒にアクティビティーを行うのだ。そうすることで、障害を持つ子供たちは自信や自立心につながり、そして障害を持たない子供たちは、視野を広げ、仲間をサポートすることを学んでいくのだ。

イースター・シールズのメイン州支部長であるラリー・ガモン氏は次のように語っている。
「フレンドリーズは、我々のサマーキャンプの継続的な成功に欠かせないパートナーです。社員の皆さんも、誠意を持ってボランティアを行い、地域コミュニティーと店舗顧客をエンゲージさせるために全力を尽くして貢献してくれています。このプログラムは、フレンドリーズの「心」を象徴しているプログラムなのだ、と実感します。」

中堅企業ならではのコーズプログラムの方向性また、フレンドリーズの社長、ネッド・リドヴァル氏は、このプログラムは社会的な貢献はもちろんのこと、ビジネスの成功にも繋がっている、と言う。
例えば昨年度はこのプログラムにちなみ、キャンプファイヤーに見立てた「キャンプ・フレンドリーズ・サンデー」を新商品として投入。たちまち人気商品となった。もちろん、無料アイスクリーム券を配布することで、各レストランやアイスクリームショップを訪れるリピート客の獲得にも繋がるだろう。しかし何よりも重要なのは、顧客たちとのコネクション強化である。フレンドリーズの顧客たちが、楽しい団欒の時を求める際、他のファミリーレストランやアイスクリームショップではなく、フレンドリーズを選んで訪れてくれるのだ。

フレンドリーズは、数々の著名コーズマーケティングプログラムを輩出するような大企業ではない。地域に密着した中堅企業としてフレンドリーズは、「コーン・フォア・キッズ」というひとつのコーズプログラム、そして、同じ非営利団体とのパートナーシップを30年以上愚直に守り続けている。この中堅企業ならではの戦略が、プログラムの成功とステークホルダーたちの満足度に繋がっているのである。


【執筆】 ASPIRE Intelligence 社代表  リップシャッツ 信元 夏代

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