特集/コラム
ケロッグの“シェア・ユア・ブレックファスト
一日の食事でもっとも大切な食事はなんだろうか。専門家によると、それは朝食である、という見解が多い。特に育ち盛りの子供にとっては朝食は欠かすべきではない食事であるのだが、一方で、アメリカの5人に1人の子供は食糧難問題を抱えた家庭に育っており、朝食にありつけない子供たちがたくさんいることが、大きな社会問題ともなっている。そこでシリアルなど、朝食商品のリーダーであるケロッグ社は、全米の子供たちの食糧難に取り組むNPO団体、アクション・フォア・ヘルシー・キッズとパートナーシップを組み、今年1年間で100万食の朝食を全米の子供たちに届ける取り組みを行っている。
朝食の大切さ
朝、太陽が昇り、目が覚め、顔を洗い、朝食を取り、出かける。昼になると昼食をとり、1日を終えて夕方帰宅すると夕食をとり、くつろぎ、寝る。そんな1日の生活のリズムを崩さないことが、健康と体調を保つのに大切なことだ。とくに朝食は1日の活動を始めるにあたり、この生体リズムを作り出すのに必要なものであるだけでなく、特に成長期にある子供にとっては、丈夫な体を作るため、朝食を欠食せず、1日3食をしっかりととることで、成長に必要な栄養素が充足されるのだ。朝食を抜くと、血液中のブドウ糖が不足して、いわゆる低血糖の状態に陥ってしまう。これは体にとっては一種のストレス状態であり、イライラはもちろん、頭を働かせるエネルギーがないため、勉強や仕事に身が入らない、集中力がない、などが起こる原因ともなる。
アメリカで「朝食の習慣」、「栄養状態」、「体重」、そして「アカデミックパフォーマンス」の関連性を研究した報告書によると、朝食の欠食を改善し、毎日取るようにした子供たちは、欠席率や遅刻の低下、集中力の向上、運動能力の向上、そして全般的な行動の向上に繋がった、という結果が出ている。
しかしながら、アメリカでは、5人に1人の子供が、食事の確保に不自由している家庭に育っており、やむを得ず朝食を抜くことになってしまっている状態が多く見られるという。この食糧難問題は、アメリカという国にとって、解決すべき深刻な社会的問題のひとつでもあるのだ。
そこで、朝食のリーダーであるケロッグ社は、1日の食事の中でも最も大切な朝食を、全米の子供たちに提供しよう、と立ち上がった。それが、「シェア・ユア・ブレックファスト(Share Your Breakfast)」キャンペーンである。
100万食の朝食寄付が今年のゴール
「シェア・ユア・ブレックファスト」キャンペーンでは、次のいづれかの方法でキャンペーンに参加すると、ケロッグ社が1食分の朝食を寄付する、という仕組みで成り立っている。
1) 「シェア・ユア・ブレックファスト」のウェブサイト、Facebookページ、またはツイッターで、今朝、あなたが食べた朝食が何だったかをシェアすると、シェア1件につき1食分の朝食が寄付される。
2) ケロッグのコレクターズ版記念スプーンをオーダーする(1つ3ドル)と、スプーン1つにつき1食分の朝食が寄付される。
3) 共同購入サイト、LivingSocialを通してファミリー向けの商品を購入すると、購入1件につき1食分の朝食が寄付される、さらに購入者にもケロッグの朝食が無料で提供される。
4) ケロッグ商品のパッケージに含まれているクーポンを還元すると、1食分の朝食寄付とともに、購入者も5ドルの割引クーポンを入手できる。
ケロッグ社は、全米各地のアクション・フォア・ヘルシー・キッズ支部の協力を得て、学校朝食プログラムへの支援として各地域の学校に直接寄付を送っている。
ケロッグ社が協力し始めてから、学校朝食プログラムの成果が上がっている。
たとえば、子供の食糧難問題が特に深刻だといわれているフロリダ州オーランドのある中学校では、学校朝食プログラムへの参加率が170%増加。コネチカット州の小学校では、これまで無料で朝食・昼食を提供する学校給食プログラムをすでに独自に実施していたのだが、朝食に参加する子供たちは昼食よりも格段に少なかった。しかしケロッグ社の支援が始まってからは、全生徒に対して無料の朝食を提供することができるようになった、という。
「我が国の重要な問題」。政治家たちもプログラムを賞賛
アメリカでは、3月4日から10日の一週間は、「ナショナル・ブレックファスト・ウィーク」に制定されている。
ケロッグ社はナショナル・ブレックファスト・ウィーク期間中に、NPOパートナーのみならず、ヒルトンホテル、マリオットホテル、シスコ、など、異業種の企業パートナーとも協力体制を築き、全米各地で朝食をサービスするイベントなどを開催。そのほか、人気テレビ番組、「ペアレントフッド」の主演女優、そして実生活でも3人の子供の母親である、モニカ・ポッターさんをスポークスパーソンとして、「シェア・ユア・ブレックファスト」プログラムへの賛同を呼びかけた。
さらにワシントンDCで行われたキックオフイベントでは、国会議員たちからの賛同も得ることができた。
共和党の議員、ジョアン・エマーソン議員は次のように語った:
「子供の食糧難は、我が国でも最も深刻な社会問題のひとつです。朝食をとることができずに一日を過ごす子供たちは、学習や成長にも問題が見られます。しかしヘルシーな朝食をとることで、これらの問題は大きく改善することができるのです。次世代を担う子供たちには、そのような機会を与えてあげなければなりません。ですから私は、このシェア・ユア・ブレックファストのような取り組みこそが、アメリカの社会問題を解決する糸口になる、と考えています。」
同じく共和党のジム・マクガバーン議員も次のように賞賛している:
「子供の食糧難を終結させることは、モラル上正しいことであるだけでなく、わが国にとって長期的な目標として必要なことなんです。お腹がすいた子供たちは学校でも苦労します。メディカルケアの必要性も高まります。そしてそれは21世紀の労働力を脅かす原因へと発展していきます。シェア・ユア・ブレックファストは、そんな深刻な社会問題に取り組むすばらしいプログラムだと思います。」
ケロッグ社のマーケティング・バイス・プレジデント、ダグ・ヴァンデヴェルデ氏は、「シェア・ユア・ブレックファスト」キャンペーンについて次のようにコメントしている。
「我がケロッグ社では、シリアルとミルクのような、すばらしい朝食は、すばらしい一日をもたらす、と信じています。1杯のシリアルとミルクは、ビタミンとミネラルが豊富で、とても栄養価の高いヘルシーな朝食です。子供の食事に欠乏しがちな10大栄養素を摂取することができます。
しかし残念ながら、この大切な食事をとることができない子供たちもたくさんいるのです。だからこそ我々は立ち上がり、NPO団体、アクション・フォア・ヘルシー・キッズとパートナーシップを組み、そのような環境にいる全国の家庭を支援することが大切だと考えているのです。共に立ち上がることで、子供たちが、健全な一日を過ごす手助けをし、大きな変化を促進することができるのです。」
「シェア・ユア・ブレックファスト」では、2012年〜2013年までの学期中に、100万食の朝食を全米の子供たちに提供することをゴールとしている。
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://www.social-market-press.jp/column/155/trackback.html